総合職女性のなかには、「今はまだ転勤の話がないけれど、ある日突然辞令が出るのでは…」と不安になっている方がいます。
「総合職だから転勤は仕方ない」と割り切っている方もいれば、「子どもや親の介護を考えると難しい」と感じる方もいます。
本記事では、大手企業で総合職をしていた筆者が、女性の総合職を悩ませる転勤について解説します。
総合職は転勤が避けられない?
総合職は「転勤あり」が前提のことが多いですが、すべての人が数年ごとに転勤しているわけではありません。
たとえば、
- 部署によっては本社・地元に長くとどまる人もいる
- 子どもや介護の事情に配慮がされることもある
- 転勤がない総合職や一般職に切り替えられる会社もある
つまり「総合職は絶対に転勤させられる」わけではなく、会社ごとに“幅”があります。
とくに、近年では転勤制度を縮小させ、本人の意思を尊重する企業も増えています。
総合職の転勤の頻度
メーカーで技術職の場合、2~3年に1度の頻度で転勤がある企業もあります。
平成29年の厚生労働省の報告書によると、総合職(全国転勤型正社員)の多くは転勤の可能性があるとされています(※1)。
本調査結果の総合職の転勤に関する要点を下表にまとめました。
- 企業の約3割以上が「正社員(総合職)のほとんどが転勤する可能性がある」と回答
- 企業規模が大きいほど(拠点数が多いほど)転勤の可能性が高まる傾向
- 実際の転勤経験者の割合を見ると、男性では「1割程度」が最も多い21.0%で、次いで「2割程度」が17.2%。
- 一方、女性では「転勤経験なし」が51.7%と半数を超えている
- ただし、女性でも約2割は転勤を経験しており、完全に無縁とはいえない
- 職種別では、国内転勤が多いのは「管理職」(65.2%)、「営業職」(56.4%)
- 転勤経験者を年齢層でみると、30代が最も多く(67.4%)、その後40代(48.3%)、20代(39.1%)と続く
- 子育て世代の転勤が少なくないといえる
- 転勤者(配偶者あり)に占める単身赴任者の割合について、企業の3割近くが「ほとんど単身赴任」と回答
拠点数の多い大企業のほうが、転勤が発生しやすいようです。
また、「総合職は転勤がある」といえど、女性総合職の半数は転勤経験がありません。
転勤が多い属性である「大企業勤務」+「営業職」+「30~40代」+「管理職」という条件が重なりそうな方は、転勤の可能性も考えておいた方がいいかもしれません。
私が勤めていた会社でも、まさに上の条件に合致した方たちが転勤していました。
女性社員のなかにも転勤した方はいましたが、引っ越しを伴うケースはほとんどありませんでした。
しかも、転勤する方は、「支社長」「課長」などの役職がつくために転勤する場合や、「花形部署への異動」によるケースが多く、キャリア上のステップアップとセットになっている印象が強かったです。
※1.厚生労働省|「転勤に関する雇用管理のポイント(仮称)」の策定に向けた研究会・報告書
総合職の転勤と結婚との両立
結婚をきっかけに「転勤がある総合職を続けられるのか」と悩む方は少なくありません。
配偶者の仕事や子育て、介護などの状況によっては、転勤が難しいケースも多いです。
近年では、共働き世帯の増加や介護問題への対応から、企業側も次のような柔軟な制度を整え始めています。
- 配偶者の転勤に合わせた勤務地変更
- 転勤免除申請
- 地域限定総合職へのコース変更
このような、結婚後の生活に配慮した制度を設けている会社もあります。
一方で、依然として「総合職である以上、全国転勤は避けられない」と考える企業もあります。
将来的に結婚を視野に入れている場合は、転職や社内制度の利用を含めて、働き方を見直すタイミングが訪れる可能性はあります。
総合職の転勤族の暮らし
総合職で転勤がある場合、転勤族として家族一斉に引っ越すケースがあります。
子どもが未就学児のときは、配偶者と子どもと一緒に引越しできますが、子どもが学校に通いだすと子どもも一緒に引越しすることが難しくなります。
子どもも、その土地で人間関係ができ、日々の暮らしを築いていくからです。
その場合、自分だけが引っ越す単身赴任ということになります。
転勤がない総合職はエリア総合職
転勤がない総合職には、エリア総合職(地域限定職)などがあります。
エリア総合職は、転居を伴う転勤がありません。
ほかにも、地域総合職、地域限定職とよばれることがあります。
ただし、地域総合職は、「転勤は東日本のみ」というように、エリアを限定して転勤が発生する場合があるので注意が必要です。
また転勤がない総合職は、給料が安くなったり、キャリアの幅が広がりにくくなったりする懸念もあります。
総合職女性が転勤したくないときにできること
「私にもいつか転勤の辞令が来るかも」と不安に思ったら、まずは少しずつ対策を考えていきましょう。
- 会社の制度を調べる:「エリア総合職」などがあるか確認
- 転勤のペースを確認:先輩や同期の異動ペースや、事情がある人への配慮事例を知る
- 信頼できる上司や先輩に相談する:ストレートに「今後、転勤はありますか?」と聞くのは難しくても、「介護や生活基盤を大切にしたい」という形なら相談しやすい
- 自分にとって何が大切か考える:引越ししたくない特定の理由がある場合、その理由は自分の生き方を変えてでも大切にしたいものか自問しておく(たとえば、恋人・友人・家族・都会か田舎か・生まれ育って慣れた環境・食べ物)
総合職は転勤があるのはなぜ
なぜ総合職は転勤があるのでしょうか。
退職されるリスクはあるし、引っ越し代で会社にとってもリスクもあるし、謎な制度ですよね。
一般的に、転勤はこのような理由で必要といわれています。
- 技術職など、その人のスキルがほかの支社でも必要なため
- 本社や支社、地方など、異なる環境を経験させることで成長させるため
- いろいろな部署を経験させて、会社や業務の全体像を学ばせるため
- 人脈を形成させるため
- ほかのエリアの支社で欠員が出たので、人員に余裕のある支社から人手を補いたいため
- 顧客との癒着を防ぐため
一般的にジョブローテーションや、「総合職は経営の根幹を担う人材として育成したい」という会社の考えから、転勤が促されるケースがあるようです。
また、解雇したい社員がいるが、制度上できないため、あえて遠方への転勤を命ずるというような話も耳にします(もちろんすべての会社でそうとは限りませんが、ある種の圧力として機能するケースも存在するようです)。
事務系総合職と転勤の関係
「事務系の総合職(人事・経理・企画など)なら転勤は少ないのでは?」と思う方もいますが、実際には必ずしもそうとは限りません。
事務系総合職は本社・支社・支店といった拠点を横断して経験を積むケースが多いため、転勤を伴う人事異動が一定数存在します。
特に大企業では、事務系総合職も「将来の管理職候補」として見なされるため、複数の部署・拠点での経験が求められやすいのが特徴です。
ただし、全員が全国転勤を繰り返すわけではなく、本社に留まる人もいれば、エリアを限定した勤務が可能なケースもあります。
事務系総合職として働きながら転勤の負担を減らしたい場合は、入社時またはキャリアの節目で「地域限定コース」や「勤務地域を区切った総合職」に切り替えられるかを確認しておくことが重要です。
女性総合職転勤なしは可能か
総合職だからといって「必ず遠方に転勤させられる」と決まっているわけではありません。
確かに転勤が多い企業・部署は存在しますが、一方で事情に応じて配慮されたり、勤務地を限定できる選択肢が用意されたりしている場合もあります。
大事なのは「転勤があるかないか」よりも、「何を優先したいか」だと感じています。
不安を一人で抱え込まず、事前に制度や事例を調べて備えておけば、「いざ転勤」となったときにも自分の意思を持って判断しやすくなりますよ。



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